「腸内細菌はすごい!健康長寿の最大兵器」著者 佐々木淳氏講演会@SKY WELLNSEE SPORTS レポ

「腸内細菌はすごい!健康長寿の最大兵器」講演会の様子。

みなさまこんにちは。
二階堂です。
去る7月3日(日)に行われた佐々木さんの講演会は、突如生まれた台風に一時は開催が危ぶまれましたが、無事開催することができました。
あいにくの天候にも関わらずたくさんのお客様にお越しいただき、本当にありがとうございました。
今回は遠方のお客様にはご参加が難しい沖縄での開催となり、申し訳ありませんでした。
以下に講演会のお話のポイントをまとめましたので、ご覧いただけますと幸いです。

なぜ腸内細菌は大事なのか?

「腸活」というキーワードが広く認知され、テレビや雑誌で特集を目にする機会も増えました。
腸活をすると肌荒れや便秘改善、ダイエット、美容に良いといった情報が数多く発信されていますが、「なぜ腸内細菌は大事なのか?」と問われたときにズバッと即答できる方はもしかしたら少ないかもしれません。
講演会では佐々木さんが、腸内細菌が人の健康維持にとってどんな役割を担っているのか?についてお話しました。

1,免疫システムの維持に関与している。

新型コロナの感染拡大により、免疫力向上という観点からも腸活や菌活が注目されていますね。
免疫の70%を司っているのは腸であり、腸内細菌が発酵によって作り出す代謝物が免疫システムに影響を与えていることがわかっています。
詳細なメカニズムはまだ不明ですが、腸内細菌は免疫力の維持に重要な役割を担っていると言われています。

2,食べたものから栄養素を作る。

腸内細菌たちはヒトが食べたものからアミノ酸や有機酸、ビタミン、ミネラルを作り出すはたらきもしています。
「健康に良いからお野菜をたくさん食べている!」という方もいるかと思いますが、実はお野菜をはじめとする食物繊維は人の消化酵素で消化されません。食物繊維は小腸で消化・吸収されずに大腸まで達し、腸内細菌たちの餌となり代謝されることで、ヒトに利用可能な栄養素となります。

3,メンタルヘルスにも関与。

最近は「脳腸相関」や「腸は第2の脳」といった言葉も浸透してきていますね。
「腹が立つ」や「腑に落ちる」など古くから心(脳)と腹(腸)を結びつける言葉も使われています。
動物の進化の過程で最初に出来た臓器は脳でも心臓でもなく腸であり、むしろ腸が「第1の脳」では?と考えられる知見も今ではたくさん報告されてきています。
これまでの研究により、腸内細菌に幸せホルモンと呼ばれるセロトニンや気分を上げるドーパミン、精神を落ち着けるGABAなどを合成する働きがあることもわかっています。
若大将や私たちが「幸せだなぁ、、」と感じられるのも腸内細菌たちのはたらきがあってこそのことなんですね。
また、腸内細菌叢は自律神経や内分泌、情報伝達物質などを通して、脳の中枢とインタラクティブに情報交換をしているため、乱れた腸内細菌叢を整えることでストレス耐性を高めることも期待できるとされています。

ヒトと腸内細菌は、古代、栄養が不足しがちな過酷な環境下で、ヒトが腸内細菌にエサと居心地の良い棲家(腸内)を提供するかわりに、腸内細菌はヒトが食べたものから栄養素や健康を維持するのに必要な物質を作り出し、ヒトが環境に適応し進化し続けるためにはたらくパートナーシップを結んだと考えられています。

なぜプロバイオティクスとして土壌菌に注目したのか?

みなさんは「土壌菌」と聞くとどんなイメージを持たれるでしょうか?
食品カテゴリとしてはネガティブな方向でインパクト強めなキーワードかと思います。
が!!伝統的な発酵食品である納豆の納豆菌や、健康食品界で最近じわじわ人気が広がっている枯草菌も土壌由来の菌です。
そもそも私たち人間と腸内細菌の共生関係は、祖先が食べ物と共に土壌細菌を取り込み、その菌が腸に定着したことから始まったと考えられるようになってきています。
土壌1g中には100億〜1000億個、6000〜5万種の多種多様な細菌が暮らしている(※1)とされており、タンパク質・デンプン(多糖類)・油脂・セルロースの分解が得意な菌がいて、コロニー(共同体)を形成しています。
生態系の中での土壌細菌の役割は、落ち葉や動物のフンや死骸(動植物)などの有機物を分解し、植物の根が吸収しやすいように加工し届けるはたらきをしています。そして、私たちが食べる食事も動植物からできています。
(この部分でお客さまに「昨日の夜、何食べましたか?」「石食べましたなんて人はいませんよね?」と問うのが佐々木さんの講演会ではお約束の流れとなっています。)
つまり、土壌細菌も腸内細菌も動植物を分解し、宿主が吸収しやすいように加工し届けるという同じ働きをしています。
土壌細菌の多様性がなくなりバランの崩れた土壌では植物病原菌や病害虫が繁殖しやすくなり、その結果、農薬の使用を招くという悪循環に陥ります。
ヒトの場合も、腸内細菌叢の数や種類が減ることが現代病の増加に関連していると注目されています。
(このことについては、特に農業や家庭菜園などで土作りをした経験のある方に腹落ちしていただきやすいです。)


特定の善玉菌だけ摂取すればおK?

良い腸内環境を保つために、毎日同じプロバイオティクス食品の摂取を習慣にしている方もいらっしゃるかと思います。
しかし、「〇〇の効果が認められた〇〇菌!」といっても、単独の菌を特定の環境下で研究し、一部の側面で良し悪しを評価しても、千差万別な腸内環境全体の中で、他の菌との関係性によっては研究での評価通りの力を発揮できていないことも考えられます。
ヒトの社会と同じように、常在菌たちも多種多様な菌たちがときに対立し、ときに協力しながら全体で宿主の健康の維持・向上につとめていることが分かってきており、19世紀の終わりにできた「善玉菌」「悪玉菌」という二元論では説明しきれなくなっています。
例えば、悪玉菌とカテゴライズされているクロストリジウム属菌の中にも免疫機能に重要に関与するものがいることがわかっています。
また、中には特定の善玉菌だけが増えることで体調を崩す人もいます。
過敏性腸症候群(IBS)が発生する要因として、善玉菌とされている乳酸菌などが過剰に働き腸内環境のバランスが崩れることが一因となるとされています。
現在では、「超」健康な人に共通する腸内細菌の特徴として、特定の菌種が多いのではなく「多様性が高い」ということが分かっています。(※2)

佐々木さんの書籍も手にとってみていただければと思います。

佐々木さんの講演内容は「腸内細菌はすごい!健康長寿の最大兵器」に基づく内容となっておりますので、気になってくださった方はぜひ本屋さんやAmazonなどで書籍をチェックしていただけますと幸いです。
(現在SKY WELLNESS SPORTSさんにも書籍を置いていただいておりますので、お近くにお住まいの方はSKYさんでもご購入いただけます。)
初めてご参加いただく方からは「これまでの菌に対する固定概念を覆えされた!」という声をお寄せいただくことも多いです。
佐々木さんは何かしらの学位を持っているわけではありませんが、自身の実体験や実証実験を基に、また、地球の歴史の中で細菌が地球の環境とどう関わってきたのか?というマクロ的な視点で細菌を見て推論をまとめております。
この書籍の中で私が個人的に重要だと感じるポイントは「はじめに」の部分だったりします。
もし書籍を手にとっていただけた際には、ぜひ「はじめに」からお読みいただくことをおすすめしたいです。

(※1)「腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境」:桐村理沙
(※2)The Gut Microbiota of Healthy Aged Chinese Is Similar to That of the Healthy Young













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